『がん』と言われたとき何をすればいいの?

どこか具合が悪いとか、健診で検査を勧められた
病院に受診するきっかけというのは人それぞれですが、「がん」であったことを初めて告げられる場面では、あとからそのことを振り返ったとき、医師からの説明を覚えていないという方もとても多いんです。
そこで慌てて物事を決めてしまうと、のちのち「本当はそうじゃなかった」と後悔することになってしまうこともあります。
これからのあなたの人生をどう過ごすのか、とても大きな転機になるこの場面。
慌てず焦らず、まずは心を落ち着かせることから始めましょう。
病名を告げられたときに動揺するのは当たり前
検査の結果を聞く前から「癌かもしれない」と思いながら診察に臨まれる方もいれば、反対に全く想定しないままの方もいると思います。
どちらにせよ「癌でした」と言われたときに動揺しない方は、ほとんどいないと言っても過言ではありません。
未だに『癌=死』というイメージは強く、心に受ける衝撃は計り知れないものがあります。
ひどい方だと冷や汗を大量に流して顔面蒼白になる方もいらっしゃいます。
それは患者さんだけでなくご家族も同じです。

まさか私が癌になるなんて
大切な人が恐ろしい病気になってしまった
命への影響はどうなのかと心配するのは当然のことだからです。
あなたが大切にしたいことは何か、を考えてみよう
がんと言われたら何をしたらいいのか、あれこれ考えてしまうこともあるでしょう。
焦って早く治療しないと病気が進んでしまう!
病気のこと、治療のことなどしっかり理解する前に、不安のために意思決定を早まってしまうのはちょっと待ってください。
動揺が激しいときにいろいろ調べてもいいことはありません。
まずは病名を告げられたことで感じている気持ちを大切にしよう
病名を告げられて感じる気持ち
それはとても悲しかったり不安だったり
何も考えられないようなパニックだったり
とにかく良くないことばかりが頭に浮かんでしまうことでしょう。
それは
大切なものを失うかもしれない
これからやりたかった、これからもやりたかったことができないかもしれない
そんな思いから浮かんでくる気持ちです。
あなたはどんな気持ちが浮かんできましたか?
あなたが大切にしたいことは何ですか?
これからの生活のこと、仕事のこと、家族のこと、そして一番大切なあなたのことを何も考えずに治療を決めてしまう前に、あえて考えて欲しいことがあります。
頭の中に浮かんで来ることは心配になることが多いですが、それ以上にあなたがこれからどうしたいか、が一番大切なのです。
1.仕事はなるべく続けたい
2.子ども、孫の入学式、卒業式をみたい
3.これまで家族と行っていたイベントをこれからも続けたい
4.家族や友達と旅行に行ったり趣味をしたり、楽しむことをやめたくない
5.なるべく家事を続けたい
あなたの場合は何を大切にしたいですか?
その大切にしたいものを守りながら治療を受けることを考えてみましょう。
すべてを犠牲にして治療だけに専念することも決して悪いことではありません。
しかし、大切なものを犠牲にして治療のことだけを考えて生活することは、きっとこの先苦しくなってしまうと思いませんか?
人生の基盤は毎日の生活です。
その生活とあなたの大切なものを守りながら治療を行うことが、長く治療を続ける秘訣になるのです。
ひとりで考えられないときは誰かに頼ろう
ご自身で気持ちの整理ができないときには、受診した病院にがん相談支援センターがあったり、がん看護専門看護師や緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師が在籍していると思います。
それらのがんの専門家に気持ちを吐き出して、これからどうしていくかを相談することもできます。
特に動揺が激しいときは焦らないことが大事。
医師から治療方法の提示があると思いますが、お返事は一旦保留にして自分にこれからどうしたいかを問いかけてみてください。
気持ちを落ち着かせるということは難しい側面もありますが、告知後には少しでもこれからの治療に臨める心の体制を整えることを優先しましょう。
そして、医師からの説明を振り返り、わらからなかったこと、聞き逃したこと、もっと知りたいことなどをメモしておくといいでしょう。
次の診察の時に聞きたいことを確実に聞けるようになります。
まとめ
診断を伝えられた後はあなたが大切にしたいことを中心に、これからの治療を相談していくことになります。
どの治療を受けるかを決めるのは患者さん自身です。
あなたの大切なものを守りながら治療を受ける、そのためには何を大切にしたいと思っているかをご自身で理解されることが必要です。
治療の中心は患者さんです。
お任せにするのではなく、一緒に治療計画に参加できるようにたくさん相談してくださいね。
私たちは患者さんの意思決定をお手伝いできることを待っています。